床下を点検することは、一般の方にとってはめったに経験することができない貴重な体験です。
皆さんの床下のイメージは狭くて、暗くて、ジメジメしていて、虫やヘビが居て…など、
あまり良いイメージをお持ちの方が少ないのではないかと思います。
実際、古い建物の床下は、そんなイメージ通りのところもあるかもしれませんが、
最近の家はそんなことはありません。案外床下はきれいなことに気付くかもしれません。
まずは、床下に入る服装から
- 汚れてもいい服と靴を用意してください。床下では、身体をうつ伏せの状態で移動するので、身体の前面が地面に擦れます。雨宮では、上の写真ような専用のつなぎ服を使います。
- 頭にかぶる帽子と手袋(軍手など)そしてマスクもご用意ください。狭い場所なので、ついつい頭をぶつけてしまいがちです。
- また、床下は予想している以上に埃っぽいです。必ずマスクを着用しましょう。もちろん雨宮でも専用の防じんマスクを装着します。
- 懐中電灯(ヘッドランプがあると、手が自由になるので重宝します)なるべく明るいものを使うといいでしょう。明るいと恐怖心も薄れます(笑)。
- できれば、デジカメ。気が付いたことを記録しておきましょう。防水・防塵仕様のものが望ましいです。ホコリで思わぬ故障を引き起こすこともあります。
床下でのチェックポイントを
順番にご紹介します
- 点検口(キッチンにある床下収納庫など)のふたを開けて地面の状態を確認
まずは頭を突っ込んで付近を確認してみましょう。地面は湿っていませんか?カビ臭くはありませんか?この時カビ臭ければ、この後の床下点検は慎重にチェックする必要があります。
- 床下に人が入っていけそうか?
人が入って確認できなければメンテナンスもできません。
最近の建物は、部屋ごとに基礎コンクリートで区切られていることが多いです。隣の部屋に移動するための人通口(通気口)がきちんと作られていますか? 作られていても人が通るには小さ過ぎたり、入ることのできない部屋があったりしていませんか?
- 床下に人が入っていけそうか?
- 通気口は確保されているか?
結露や腐朽・カビの防止にはとても大切な部分です。
外回りの基礎コンクリートに各部屋 通気口が設置されていますか?
設置されていても通気口の外側(屋外側)が暗いときは、何か障害物にふさがれている可能性があります。障害物があっては、通気口としての機能が果たせません。最近の建物は、基礎コンクリートと土台の間に通気層を設けた「ねこ土台」という工法が流行りです。その場合、通気口はありません。基礎コンクリートの天端(上辺)あたりをよく見てください。全周にわたって隙間が見えるはずです。気密工法の建物だと、この隙間すらありません。換気は自然換気ではなく、計画換気されています。建物の仕様書をよくご確認ください。- 通気口は確保されているか?
- 断熱材はすき間なく入っているか?
すき間があると断熱性能は台無しです。
床下で裏側(床裏)に断熱材の層を設けている場合が多いです。ですが、固定方法が悪いと年月が経つにつれ、垂れさがったり脱落したりしていることがよくあります。すき間ができると熱はそこから逃げ出してしまいます。ただし最近多くなった基礎断熱工法の建物はこの限りではありません。断熱材の層を基礎面に張り付けて作りますので、裏側には断熱材がない場合もあります。
- 断熱材はすき間なく入っているか?
- 蟻道はないか?いよいよシロアリのチェックです。
土の中に住むしろありは、大好きな木材のあるところまでトンネル状の道を作って登って行きます。これが蟻道です。最初はお部屋の隅っこを見てください。隅は風の通りが悪く、湿気も滞りがちなのでシロアリの大好きな場所です。そこに土でできた巾5ミリ程度の筋があったら、それはシロアリの蟻道かもしれません。もし見つけたら、そっと崩してみてください。活動中の蟻道なら、シロアリの姿を確認できるかもしれません。(もぬけの殻ということもあります)
- 水漏れはないか?水を使うところをすべてチェックしましょう。
多くの水道管は塩化ビニルというプラスチックでできていますので、年数が経過すると徐々に劣化し、何らかの理由で無理な力がかかるとピシッとひびが入ることがあります。床下点検で水道漏れを発見することはよくあります。
発見が遅れ、床下が池のようになってしまうと、木材が腐ったり、カビが生えたり、蚊など虫が発生することもあります。他にも耐震金物や基礎コンクリートのヒビなど、チェック項目はありますが、以上6つが最低限の床下チェックポイントでしょうか。
そうは言っても、床下に入って点検するのはとても大変なことです。 信用できる業者に依頼して、定期的に検査するのがベストです。