家の中で小さな幼虫のようなものを発見したとき、「シロアリの幼虫ではないか」と心配になったことはありませんか。
本記事では、シロアリの幼虫の特徴やほかの幼虫との見分け方、シロアリを発見した場合の対処法について詳しく解説します。
シロアリの幼虫の特徴
シロアリの幼虫は全長1mm程度で、肉眼で見えるか見えないかの大きさです。胴体はくびれがなく寸胴型をしており、生まれたときから触角と足が生えています。
触角は数珠状で節がなく、まっすぐに伸びた形です。体の色は全体的に乳白色ですが、部分的に茶色っぽいところがあります。
シロアリの幼虫と成虫は外見に違いはある?
シロアリの幼虫と成虫では、見た目にどのような違いがあるか説明します。
幼虫と成虫ではあまり変わらない
シロアリは「不完全変態」という、幼虫がそのままの形で大きくなって成虫になる昆虫です。
一方、「完全変態」はカブトムシや蝶のように幼虫からサナギになり、サナギから成虫になる昆虫を指します。
不完全変態のシロアリは、何度も脱皮を繰り返しながら外見をほとんど変えずに大きくなります。そのため、幼虫と成虫の姿はほとんど変わりません。
幼虫と成虫の違いは「大きさ」です。幼虫は全長1㎜程度ですが、成虫になると3.5〜11mm程度の大きさになります。
シロアリの種類 | 幼虫の大きさ | 成虫の大きさ |
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ヤマトシロアリ | 1mm程度 | 3.5~6.0mm |
イエシロアリ | 1mm程度 | 7.4~9.4mm |
アメリカカンザイシロアリ | 1mm程度 | 8.0~11.0㎜ |
成虫になるにつれ外見が少し変わる場合もある
シロアリは基本的に幼虫と成虫で外見にあまり違いがありませんが、成虫になったあとの役割によって、適した姿へと外見を変えるシロアリもいます。
シロアリには「兵アリ」や「職アリ」、「ニンフ」、「羽アリ」、「生殖虫・副生殖虫」などと呼ばれる役割があります。
卵や幼虫の段階ではこの役割がありませんが、成虫になるとシロアリの王が分泌するフェロモンによって役割が決められ、それぞれの役割に適した姿に変わります。
種類 | 役割 | 外見 |
---|---|---|
兵アリ | 外敵と戦う巣の門番 | 頭部が体長の2分の1~3分の1の大きさで、褐色~黒色の鋭い大顎を持つ |
職アリ | 餌を運び、卵や幼虫の世話(栄養を分ける働き)をする働きアリ | 本来のシロアリの形(最も数が多く、一般的に見かけることのあるシロアリ) |
ニンフ | 羽アリになる前の状態 | 背中に小さな翅芽(羽が生えてくる部分)がある |
羽アリ | ニンフから羽アリになり、巣から外へ飛び立って活動場所を広げ繁殖する | 職アリに羽が生えた形。前後の羽の大きさは同じ。 |
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産卵に専念する。副生殖虫は、生殖虫が死亡または産卵できなくなった場合、代わりに生殖虫となる | 15mm~40mmほどの大きさ。女王アリは卵巣が発達すると腹部が著しく大きくなる。 |
シロアリの幼虫はどこにいる?
シロアリの幼虫はどのような場所にいるのか解説します。
シロアリの幼虫は巣の中心部に生息している
シロアリの幼虫は、女王アリと共に巣の中心部に集まっています。基本的に幼虫は巣から出ないため、幼虫を外で見かけることはありません。
そのため、シロアリを見かけた場合は成虫の羽アリであることがほとんどです。
シロアリの種類によって生息場所が異なる
ヤマトシロアリとアメリカカンザイシロアリは木材の中に巣を作るのに対し、イエシロアリは地中に巣を作ります。
ヤマトシロアリ | 家の土台や柱などの木材を食害してできた空洞に巣を作る |
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イエシロアリ | 餌となる木材とは別の場所の地中に巣を作る |
アメリカカンザイシロアリ | 家の土台や柱などの木材を食害してできた空洞に巣を作る |
ヤマトシロアリは、土の下にある本体の巣から「蟻道」と呼ばれる土のトンネルを伸ばしながら、餌である木材(土台や柱)まで移動し、食害した木材内部に巣を作ります。
アメリカカンザイシロアリはヤマトシロアリ同様、蟻道を作って到達した木材を食害し、食害した木材の内部に巣を作ります。
ただし、ヤマトシロアリが湿気の多い場所に巣を作るのに対し、アメリカカンザイシロアリは乾燥した場所に巣を作るという点が異なります。
これはヤマトシロアリが湿った木材を好むのに対し、アメリカカンザイシロアリは乾燥した木材を好んで食べるためです。
イエシロアリも木材を餌としますが、巣は別の場所に作ります。
自身の排泄物や土を唾液と混ぜ合わせて粘土状の素材を作り、それを張り付けながら網目状の層が幾重にも重なり合う巨大な「本巣」と呼ばれる巣を作ります。
餌となる木材と巣の場所が離れている場合は、餌となる木材の近くに分巣を複数作ることも特徴です。
シロアリの幼虫に似た虫
シロアリの幼虫に似た昆虫として、メイガ、キノコバエ、アリガタバチ、ドロバチの幼虫やチャタテムシ、トコジラミ、ダニ、ノミ、コケシロアリモドキなどが挙げられます。
※それぞれの特徴と大きさは次の通りです。
似た虫の種類 | 特徴 | 大きさ |
---|---|---|
メイガ |
|
1㎝~2㎝程度 |
キノコバエ |
|
1mm~4mm程度 |
アリガタバチ |
|
1.3mm~3.5mm程度 |
チャタテムシ (ヒラタチャタテ) |
|
1mm程度 |
トコジラミ | 赤褐色で扁平かつ楕円形 | 5mm~8mm程度 |
ダニ |
|
0.3mm~1mm程度 |
ノミ |
|
1mm以下~9mm程度 |
コケシロアリモドキ |
|
7mm~9mm程度 |
まとめ
シロアリは「不完全変態」の昆虫であるため、幼虫と成虫で見た目に変わりはありません。基本的には大きさのみが異なり、幼虫は約1mmで成虫は3.5mm〜11mmほどです。
幼虫は巣の中心部に生息し、外に出てくることはありません。
また、シロアリを見かけた場合は近くに巣があると考えられます。シロアリの巣は家の土台や柱など、建物内部にある木材の中や土の中に作られるため、自分で見つけることは難しいです。
何か違和感や気になる点があるようでしたら、専門業者に相談してシロアリの巣がないか調べてもらうことをおすすめします。
専門業者の選び方や駆除が必要な際の費用相場についてはこちらの記事で解説しています。