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シロアリには複数の種類が存在し、さまざまな役割を持つ階級の個体が集団で生活しています。
大きさや見た目はシロアリの種類だけでなく、階級によってさまざまです。
この記事ではシロアリの大きさや見た目、巣の特徴などを種類別・階級別に解説します。
シロアリの生態
シロアリには「アリ」という名前が付いていますが、実はアリの仲間ではありません。
ゴキブリがルーツの原始的な昆虫で、世界には2,900種類を超えるシロアリが存在すると言われています。
日本には23種類が存在します。このうち木材を食べて建物に被害を与えるのは、ヤマトシロアリ・イエシロアリ・アメリカカンザイシロアリの3種類です。
ヤマトシロアリの特徴・大きさ
ヤマトシロアリは、北海道北部を除く全国各地に生息しています。日本で最も生息数が多く、被害の報告件数も多いシロアリです。
乾燥や日光に弱く、地上に姿を現すことはほとんどありませんが、4月下旬~5月頃になると、新たな巣作りに向けて羽アリが地上に姿を現します。
王アリや女王アリを頂点に階級がわかれており、それぞれ役割や見た目などが異なります。
主な役割 | 大きさ | 色 | |
---|---|---|---|
王アリ・女王アリ | 生殖活動 | 大きいもので15ミリ以上 | 全体的に白色 |
働きアリ | エサの確保巣作り | 3.5~6.0ミリ | 全体的に乳白色 |
兵アリ | 外敵からの防衛 | 3.5~6.0ミリ | 頭部:淡い褐色胴体:乳白色 |
羽アリ | 新しい巣を探す | 4.5~7.5ミリ | 胴体:黒褐色で前胸背板が黄色羽:半透明で褐色 |
王アリ・女王アリの特徴・大きさ
シロアリの階級社会で頂点に立つのは、王アリと女王アリです。羽アリが翅を落として営巣すると生殖虫となり、オスが王アリ、メスが女王アリになります。
両者の役割は生殖活動なので、基本的に巣から姿を現すことはありません。
頭部・胸部・腹部に一切くびれがなく、見た目は芋虫のような姿をしています。
大きさは大きいもので15ミリ以上になり、胴体は白色です。女王アリは1日あたり数十個~数百個程度の卵を産むため、ほかのシロアリに比べて腹部が膨らんでいます。
働きアリの特徴・大きさ
働きアリは巣の中に生息するシロアリのうち90〜95%を占めており、職アリとも呼ばれます。
主な役割は、エサの確保や巣作りです。巣から出て活動するため、一般的にシロアリと言うと働きアリを指すことが多いようです。
大きさは3.5~6.0ミリで、頭部と胴体にくびれがあります。頭部の形は長円形で、全体の色は乳白色です。
兵アリの特徴・大きさ
兵アリは巣の中に生息するシロアリのうち2~3%を占めており、兵隊アリと呼ばれることもあります。
主な役割は外敵からの防衛で、巣周辺のパトロールや緊急時にしか巣の外に姿を現すことがありません。
大きさは3.5~6.0ミリで、頭部と胴体にくびれがあります。
働きアリの頭部は長円形で乳白色なのに対し、兵アリはハサミのような形で淡い褐色をしています。
羽アリの特徴・大きさ
シロアリが生殖時期を迎えると、巣の中に生息する一部のシロアリが羽アリとなって飛び立ちます。
羽アリの役割は新しい場所に巣を作り、シロアリを繁殖させることです。4月下旬から5月の昼間に一斉に飛び立つ習性があります。
大きさは、働きアリや兵アリよりも一回り大きい4.5~7.5ミリです。胴体や羽の色が黒褐色なので、黒アリの羽アリと見た目が似ています。
羽アリは巣から飛び立つ際に日光に当たるため、紫外線から身を守るためにメラニン色素を多く含んだ黒褐色をしています。
巣の大きさ・特徴
巣は、大きいもので直径1メートル以上に及ぶこともあります。巣の中に生息する個体数は数万~十数万匹にも及びます。
ヤマトシロアリは、水分を多く含んだキッチンや浴室などの水回りに使用されている木材の中などに巣を作ります。
イエシロアリの特徴・大きさ
イエシロアリは、本州南岸以南の沿岸部に沿った温かい地域に生息しています。
日本では一部の地域にしか生息していませんが、個体数が多いので被害が大きくなりやすいのがイエシロアリの特徴です。
ヤマトシロアリと同様に、イエシロアリも王アリや女王アリを頂点に階級がわかれており、それぞれ役割や見た目などが異なります。
主な役割 | 大きさ | 色 | |
---|---|---|---|
王アリ・女王アリ | 生殖活動 | 大きいもので40ミリ | 全体的に白色 |
働きアリ | エサの確保巣作り | 7.4~9.4ミリ | 全体的に乳白色 |
兵アリ | 外敵からの防衛 | 7.4~9.4ミリ | 頭部:淡い褐色 |
羽アリ | 新しい巣を探す | 7.4~9.4ミリ | 胴体:黄褐色羽:乳白色 |
王アリ・女王アリの特徴・大きさ
ヤマトシロアリと同様に羽アリが翅を落として営巣すると生殖虫になり、オスが王アリ、メスが女王アリになります。王アリと女王アリの役割は生殖活動です。
ヤマトシロアリと同じ芋虫のような見た目をしていますが、大きさに違いがあります。
イエシロアリの女王アリはヤマトシロアリの女王アリよりもサイズが大きく、大きいもので40ミリに達します。
イエシロアリの女王アリは1日あたり約300個を産卵するため、ほかのシロアリに比べて個体数が多いのが特徴です。
働きアリの特徴・大きさ
働きアリは巣の中に生息しているシロアリのうち90~95%を占めています。
主な役割はエサの確保や巣作り、蟻道の作成、ほかのシロアリの世話など多岐にわたります。
大きさは7.4~9.4ミリ程度。頭部と胴体にくびれがあり、頭部の形は卵型で全体の色は乳白色です。
兵アリの特徴・大きさ
兵アリはヤマトシロアリと同様に巣の中の2~3%を占めており、兵隊アリと呼ばれることもあります。
外敵からの防衛を役割としており、巣周辺のパトロールや緊急時以外は巣から姿を現すことがありません。
大きさは7.4~9.4ミリで、頭部と胴体にくびれがあります。頭部の形は卵型で、淡い褐色です。また、イエシロアリの兵アリは、身の危険を感じると額腺から白い粘液を分泌します。
羽アリの特徴・大きさ
巣の中にいるシロアリの1~3%は、生殖時期を迎えると羽アリとなって郡飛します。羽アリの主な役割は、別の場所に巣を作ってシロアリを繁殖させることです。
5月から7月の夕方から夜にかけて巣から一斉に飛び立つ習性があります。
大きさは、働きアリや兵アリと同じ7.4~9.4ミリです。胴体の色が黄褐色なのに対し、羽の色は乳白色です。
巣の大きさ・特徴
イエシロアリは地中に巨大な球形の本巣を作り、本巣とエサがある場所の間に分巣を作る習性があります。巣の大きさは本巣と分巣を含め、最大半径100メートルになることもあります。
個体数が多く、ひとつの巣の中に100万匹が生息していることも珍しくありません。
自ら水分を運ぶ習性があることに加え行動範囲が広いため、乾燥した場所を含めてさまざまな場所に巣を作ります。
アメリカカンザイシロアリの特徴・大きさ
アメリカカンザイシロアリは、アメリカの太平洋沿岸部が原産地なので、元々日本には存在しませんでした。
日本で初めて確認されたのは1976年で、家具や荷造材などと一緒に持ち込まれたようです。
ヤマトシロアリやイエシロアリと同様に、アメリカカンザイシロアリも王アリや女王アリを頂点に階級がわかれています。
主な役割 | 大きさ | 色 | |
---|---|---|---|
王アリ・女王アリ | 生殖活動 | 10ミリ程度 | 胴体:濃褐色 |
働きアリ | エサの確保巣作り | 8~11ミリ | 全体的に乳白色 |
兵アリ | 外敵からの防衛 | 8~11ミリ | 頭部:褐色胴体:白色 |
羽アリ | 新しい巣を探す | 6~8ミリ | 胴体:黒色頭部:褐色足:褐色羽:黒色 |
王アリ・女王アリの特徴・大きさ
ヤマトシロアリやイエシロアリと同様に、羽アリが翅を落として営巣すると生殖虫になり、オスが王アリ、メスが女王アリになります。
王アリと女王アリの役割は生殖活動なので、巣から姿を現すことはほとんどありません。
女王アリは、羽アリが翅を落とした落翅虫(らくしちゅう)の腹部が膨らんだような姿をしています。
大きさは10ミリ程度で、ヤマトシロアリやイエシロアリの女王アリに比べると小さいサイズです。頭部と胴体にくびれがあり、胴体の色は全体的に濃褐色です。
働きアリの特徴・大きさ
アメリカカンザイシロアリの働きアリは、脱皮すると兵アリや羽アリなどのほかの階級のシロアリになる可能性があります。そのため、擬職蟻(ぎしょくぎ)と呼ばれることもあります。
主な役割はエサの確保や巣作り、蟻道の作成、ほかのシロアリの世話などです。
大きさは8~11ミリで、頭部と胴体にくびれがあります。胴体は円筒状の形をしており、全体的に乳白色をしています。
兵アリの特徴・大きさ
アメリカカンザイシロアリの兵アリは、兵蟻(へいぎ)と呼ばれることもあります。主な役割は外敵からの防衛ですが、攻撃性はあまりありません。
大きさは8~11ミリで、頭部が四角形で大きく、触覚の付け根にフシが見られます。顎が大きすぎるがゆえに自分でエサを確保できないため、働きアリから分け与えてもらっています。
羽アリの特徴・大きさ
巣の中にいるシロアリが生殖時期を迎えると、一部のシロアリに羽が生えて羽アリになり、3月から11月の昼間に一斉に飛び立つ習性があります。
主な役割は、別の場所に巣を作ってシロアリを繁殖させることです。
大きさは6~8ミリで、働きアリや働きアリよりも一回り小さいです。胴体や羽の色は、全体的に赤褐色・黒褐色をしています。
巣の大きさ・特徴
ひとつの木材の中に巣を細かくわけて作る習性があるため、巣の大きさはさまざまです。
巣の中に生息する個体数はほかのシロアリに比べて少なく、数百から数千匹程度です。
乾いた木材を好んで食べる習性があります。
シロアリは自分で駆除するのが難しい
シロアリは日光の当たらない床下や土の中などに巣を作って生活しているため、自分で見つけるのは難しいです。
また、シロアリを完全に駆除するためには、有効な薬剤を必要な場所に適量散布する必要があります。
駆除は専門知識や経験がなければ難しいため、専門業者に相談することをおすすめします。
無理に自分で対処しようとせず、業者の判断を仰ぐようにしましょう。
業者に依頼する際の費用相場については、こちらの記事を参考にしてみてください。
まとめ
シロアリは、王アリや女王アリを頂点に複数の階級にわかれています。
それぞれの大きさは以下の通りです。
ヤマトシロアリ | イエシロアリ | アメリカカンザイ シロアリ |
|
---|---|---|---|
王アリ・女王アリ | 大きいもので15ミリ以上 | 大きいもので40ミリ | 10ミリ程度 |
働きアリ | 3.5~6.0ミリ | 7.4~9.4ミリ | 8~11ミリ |
兵アリ | 3.5~6.0ミリ | 7.4~9.4ミリ | 8~11ミリ |
羽アリ | 4.5~7.5ミリ | 7.4~9.4ミリ | 6~8ミリ |
羽アリの以外のシロアリは巣の中や人目につかない場所で生活しているため、実際にシロアリの存在に気づきにくいのが現状です。
シロアリの被害が進行すると建物の耐震性に影響を与えるため、定期的なタイミングで、専門業者に調査を依頼するとよいでしょう。
この記事の監修者
犬飼 章博
- 2015年 最年少で豊橋支店長就任
- 2021年 本社支店長就任
- 2023年4月より愛知県しろあり対策協会理事
住宅のシロアリ調査から始まり、その他の様々な害虫対策や防水・断熱といったリフォーム工事全般を経験してまいりました。調査実績は延べ数千件以上。
本社の支店長になっても現場が好きで、今も前線で活動しております。
疲れた体を癒すため、趣味は温泉巡りです。
- 資格
- しろあり防除士
- 一級建物アドバイザー