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羽アリには、シロアリとクロアリの2種類がいます。このうち、住宅の木材を食い荒らし、家の耐震性を損なう恐れがあるのがシロアリです。
普段は人の目につかないところにいるシロアリですが、一定の時期になると羽アリとなって飛び立ちます。
羽アリの対策をするためには、発生する時期がいつ頃なのかを知っておくことが大切です。
この記事では、シロアリの羽アリが発生する理由、時期や時間帯、クロアリの羽アリとの見分け方を解説します。
シロアリの羽アリが発生する時期
シロアリは巣が飽和状態になると、個体の一部が羽アリとなって巣から飛び立ち、新たなすみかを探して群飛(ぐんび)します。
群飛の時期はシロアリの種類によって異なります。
日本には20種類以上のシロアリが生息していますが、住宅に大きな被害を与えるのは、「ヤマトシロアリ」、「イエシロアリ」、「アメリカカンザイシロアリ」の3種類です。
種類 | 発生時期 | 発生する時間帯 |
---|---|---|
ヤマトシロアリ | 4月~5月(沖縄は2月、北海道・東北は6月頃) | 昼間 |
イエシロアリ | 6月~7月 | 夕方~夜 |
アメリカカンザイシロアリ | 6月~9月 | 昼間 |
ヤマトシロアリ:4月~5月の昼間
ヤマトシロアリの羽アリは、4月から5月の昼間に多く発生します。気温が高く、雨上がりのじめっとした日に見かけやすいです。
群飛の時期は、ほかのシロアリよりも比較的早く、夕方から夜に飛ぶことはほとんどありません。
また、ヤマトシロアリは北海道の北部を除く日本全土に生息しており、他の種類に比べ食害の被害件数が多いのも特徴です。
乾燥や日光に弱いため、幼虫や働きアリなどは人目に触れない木材の中で生活し、床下や浴室などの湿気を帯びた水回りの木材を好んで食べます。
行動範囲は狭いですが、地中やコンクリートの表面に「蟻道」と呼ばれる土の通路をつくり、より湿気の多い場所に移動して被害を拡大させるケースもあります。
イエシロアリ:6月~7月の夕方~夜
羽アリは、6月から7月の夕方から夜にかけて群飛するのが一般的です。この時期、街灯や住宅の光に導かれて群がる光景がよく見られます。
イエシロアリは寒さに弱いため、生息地は千葉県から南の温暖な本州南岸や、九州、沖縄県に限られますが、温暖化の影響により生息範囲は拡大傾向にあります。
他のシロアリとの大きな違いは、自ら水を運ぶことができる点です。
乾燥した木材でも水で湿らせ柔らかくして食べるため、住宅のさまざまな場所に被害が拡大する可能性があります。
アメリカカンザイシロアリ:6月~9月の昼間
アメリカカンザイシロアリの羽アリは、6月から9月の昼間に発生し、長期間にわたり、少数で何度も群飛するのが特徴です。
アメリカ原産の外来種で、宮城県から沖縄までの24都府県に点在していますが、昨今の温暖化により、ほかの地域にも生息域を広げつつあります。
ヤマトシロアリやイエシロアリとは異なり、湿った木材ではなく乾材を好み、蟻道をつくったり光に群がったりする習性はありません。
住宅に使用される木材はもちろん、机やピアノ、タンスなどの家具類も食べ、被害にあった木材の食害孔から砂粒のようなフンを排出するのが特徴です。
シロアリの群飛とは
シロアリの群飛は、巣が過密状態になると発生する自然現象で、新しい巣を作るために羽アリが一斉に飛び立ちます。
この現象は、春や初夏の湿度が高く、気温が適した時期に起こり、シロアリの繁殖活動にとって重要なステップです。
巣別れしたシロアリは、新しい場所で個体数を増やしていくため、群飛が発生した建物には早急な対応が求められます。
群飛が確認された場合は、専門業者による点検と適切な駆除が不可欠です。
シロアリはなぜ群飛を行うのか
群飛は、家族が増えたために新しい住まいを探すようなもので、シロアリの生存と繁栄のために欠かせないプロセスです。
特に、湿気が多く、気温が上昇する時期には群飛が集中して発生するため、この時期にはシロアリの活動に注意を払い、
予防策を講じることが重要です。
群飛してもシロアリはいる
群飛後も元の巣にはシロアリが残り、引き続き建物に被害を与えるリスクがあるため、
羽アリを見かけた際には、早急に対応することが建物を守るための鍵となります。
シロアリが新しい巣を作り、個体数を増やす群飛は、短期間で発生し、その後は一時的に羽アリの活動が見られなくなりますが、
これは問題の終息を意味するわけではありません。
シロアリは建物内に巣を構築し続け、被害が進行する可能性が高いため、早期発見と迅速な対応が必要です。
シロアリと同時期に発生するクロアリの羽アリ
クロアリの羽アリには、シロアリと同時期に群飛するものが数種類います。
クロアリは木材を食べないので、住宅に直接の被害を及ぼすことはありませんが、キッチンの食べ物に群がったり、人やペットに噛みついたりするケースがあります。
また、パソコンやテレビなどの電気器具に侵入して故障させることもあるため、被害が気になる場合は、シロアリと同様に専門業者に相談するとよいでしょう。
種類 | 発生時期 | 発生時間 |
---|---|---|
クロオオアリ | 5月~6月 | 昼~夕方 |
クロヤマアリ | 6月~7月 | 午前中 |
ヒメアリ | 6月~8月 | 日中 |
トビイロケアリ | 7月~8月 | 夜 |
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9月以降に発生する羽アリ
シロアリの羽アリは4月~9月ごろに飛来することが多く、9月以降はキイロシリアゲアリやサクラアリなどのクロアリが発生します。
中でもキイロシリアゲアリは、光に集まる習性があり、住宅内の明かりに誘われて、家の中に侵入してくることがあります。
ただし、9月以降に発生する羽アリが必ずしもクロアリとは限りません。
温暖化の影響や暖房設備の充実、建物の断熱性の向上などにより、アメリカカンザイシロアリの羽アリは9月以降にも発生する場合があります。
種類 | 発生時期 | 発生時間 |
---|---|---|
キイロシリアゲアリ | 9月~10月 | 夕方 |
サクラアリ | 9月~11月 | 午前中~昼前頃 |
シロアリとクロアリの羽アリの見分け方
シロアリとクロアリを見分けるには、姿形や発生する場所に注目して、判断するのがポイントです。
見分け方①:体や羽の形状の違い
シロアリとクロアリは、体や羽の形状に大きな違いが見られます。クロアリの胴体には胸と腹にくびれがありますが、シロアリは寸胴型をしており、くびれがありません。
また、クロアリの触角は「く」の字に曲がっていますが、シロアリは、小さな粒がまっすぐに連なった数珠状になっています。
羽の形に注目すると、クロアリは後羽が前羽よりも小さいのに対し、シロアリの羽は前後とも同じ大きさをしています。
また、クロアリの羽の網目模様は濃くて大きめですが、シロアリは薄くて細かい網目をしているのが特徴です。
見分け方②:発生する場所
シロアリは、気温が高く湿気の多い場所を好みます。特に、湿気がこもりやすい床下や浴室などの水回りは格好の環境です。
木材の中や床下に巣をつくっていますが、羽アリとして飛び立つ際に、床板や天井裏、壁、浴室タイルなどの隙間から這い出てくることがあります。
一方、クロアリは庭や玄関口で見られることが多く、網戸の隙間などは住宅内への侵入経路になりやすいです。
食べ物のにおいに誘われて家の中に入り込んだり、シロアリを捕食するため家の中に発生したりするケースもあります。
羽アリが発生した場合の対処法
羽アリが発生した場合、掃除機で吸い取るのが簡単で有効的な方法です。
羽アリはとても弱い生き物なので、掃除機の吸い上げる風圧でほぼ死滅してしまいます。吸い込んだ後は、ガムテープで袋をしっかり密封してから処分しましょう。
まれに掃除機の中で生き残っていることがありますが、シロアリは体の構造がもろいため、そのまま放置すると死滅します。
ただし、対処できるのは目に見える羽アリのみで、木材の中に潜むシロアリや巣を駆除できるわけではありません。
完全に駆除するには、専門業者に依頼することをおすすめします。
依頼の際の業者の選び方や費用の相場はこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
家の中で羽アリを発見したら、まずはシロアリかクロアリかを見極めることが大切です。シロアリは木材を食べるため、放置すると住宅への被害が拡大する恐れがあります。
羽アリの種類は、発生する時期や時間帯、姿形や発見場所なども観察して総合的に判断します。
羽アリが発生し、自分での判断や対処が難しい場合は専門業者に相談しましょう。
この記事の監修者
犬飼 章博
- 2015年 最年少で豊橋支店長就任
- 2021年 本社支店長就任
- 2023年4月より愛知県しろあり対策協会理事
住宅のシロアリ調査から始まり、その他の様々な害虫対策や防水・断熱といったリフォーム工事全般を経験してまいりました。調査実績は延べ数千件以上。
本社の支店長になっても現場が好きで、今も前線で活動しております。
疲れた体を癒すため、趣味は温泉巡りです。
- 資格
- しろあり防除士
- 一級建物アドバイザー