シロアリを「アリの仲間」と思っている人も多いのではないでしょうか。

実は生物学上、シロアリはアリの仲間ではなくゴキブリの仲間に分類されるのです。ただし、ゴキブリとは生息場所や食事などの生態系は異なります。

この記事では、シロアリがゴキブリの仲間に分類される理由や、生態の違いについて詳しく解説していきます。

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シロアリは生物学上ゴキブリの仲間

シロアリは生物学上、ゴキブリ目シロアリ科に分類されます。この分類は姿形や習性だけでなく、遺伝子情報が判断基準になっています。

つまり、シロアリとゴキブリは似たような遺伝子情報を持っており、過去をたどれば同じ先祖へたどりつくということです。

シロアリは、約3億年前にゴキブリから分化して誕生したとされています。ちなみに名が似ているクロアリは、ハチ目アリ科に分類されハチを先祖にもつ昆虫です。

シロアリにアリの名が付いている理由は所説ありますが、役割をもって集団生活したり、羽アリが発生したりする点がアリに似ているためと言われています。

シロアリとゴキブリの違いを比較

生物学上、同じゴキブリ目の仲間であるシロアリとゴキブリですが、食性や生息場所、習性に違いがあります。ここではその違いを比較していきます。

  シロアリ ゴキブリ
食性の違い 湿った柔らかい木材を好んで食べる
  • 人間の食べ残し
  • 人間や動物の老廃物
生息場所の違い 人目につかない床下
  • キッチン
  • 排水溝
  • ゴミ置き場
  • 冷蔵庫の下など
社会性昆虫の有無 あり なし

食性の違い

シロアリは主に木材を餌としており、特に、湿度の高い床下や水回りの湿った柔らかい木材を好んで食べます。

木材以外にもダンボール、発泡スチロールやプラスチックなどを食べることもあります。自分で水を運ぶことができるイエシロアリの場合、湿っていない木材部分も湿らせて食べる習性があるのです。

一方、ゴキブリは人間の食べ残しはもちろん、人間や動物が落としたふけや垢などの老廃物を食べます。特にデンプンが含まれたバナナやパン、ごはんなどが好物です。

生息場所の違い

シロアリとゴキブリはどちらも暗く湿気の多い場所を好みますが、食性が違うため生息場所が異なります。

シロアリの多くは、人目につかない床下を好みます。

ゴキブリは、基本的に餌のない床下を住処にすることはありません。ただし外敵が少ないという理由から、床下に卵を産み付けることがあります。

普段は餌の多いキッチンに生息していることが多く、人間が活動する時間帯は、排水溝やゴミ置き場、冷蔵庫の下など見えない場所に隠れています。

社会性の有無

シロアリは社会性昆虫で、集団をつくりその中で役割を持って生活しています。

ゴキブリも集団をつくり生活しますが、役割を持つことはありません。また、集団は家族だけではなく、糞などに含まれるフェロモンで呼び寄せた仲間も含まれます。

群れで暮らすことにより乾燥や寒さから身を守ったり、配偶者に出会えるチャンスを高めたりしています。

※社会性昆虫:集団をつくりその中で女王アリや働きアリ、兵隊アリのように役割がある昆虫

シロアリとゴキブリでは対処法が異なる

シロアリとゴキブリは対処法にも違いがあります。対処法を間違えると、被害が大きくなる可能性もあるので注意しましょう。

シロアリ(羽アリ)が発生した場合の対処法

建物内にシロアリの羽アリが発生した場合、自分でできる対処法として次の方法があげられます。

  • 掃除機で吸いこむ
  • 粘着テープで張りつける

羽アリは体のつくりが弱いため、掃除機で吸い込んだ圧力で死んでしまいます。

ただし、吸い込んだ直後は生き残っている可能性もあるため、1日置いてから捨てるようにしましょう。

羽アリを駆除する際に、殺虫スプレーの使用はおすすめしません。

殺虫スプレーは、忌避成分と呼ばれるシロアリが嫌がる成分が入っており、危険を察知したシロアリが移動し、別の場所で被害を拡大させる可能性があるためです。

ゴキブリが発生した場合の対処法

ゴキブリが発生した際は、シロアリの対処法と異なり忌避成分のピレスロイド系の成分が入った殺虫スプレーを使用して対処しましょう。

ゴキブリを駆除する際に「叩いてつぶした方が確実」と考えた人もいるのではないでしょうか。

ゴキブリは体内にサルモネラ菌や赤痢菌、ピロリ菌などを保有しています。ゴキブリをつぶすことで、こうした菌が飛び散ってしまう危険性があるため、おすすめしません。

もし、殺虫スプレーがない場合は、食器用洗剤でも代用できます。食器用洗剤に含まれる界面活性剤が、ゴキブリの呼吸用の穴(気門)を塞いで窒息死させます。

また、ゴキブリは仲間の死骸を食べる習性があるため、駆除できたらすぐトイレに流したり密閉できるビニール袋に入れたりして処分してください。

ゴキブリを駆除した場所や歩いたと思われる場所は、菌が残っている可能性があるのでアルコールでしっかり除菌するとよいでしょう。

ゴキブリを寄せ付けないためにできること

ゴキブリの発生を抑えるために、普段から予防対策をしておくことも重要です。

家を清潔に保つ

ゴキブリを寄せ付けないためには、こまめに掃除し、ゴキブリが住みにくい環境をつくることが重要です。

普段の生活で、以下のような点に気をつけてみてください。

 ゴキブリを寄せ付けないために
  • 食べ物を放置しない
  • 残飯を処理する際は臭いが漏れないよう密閉する
  • キッチンや洗面台の水分は就寝前に拭き取る
  • 不要なダンボールは処分する

侵入経路を塞ぐ

外からゴキブリをいれないために侵入経路をふさぎましょう。まずは次の箇所を重点的に点検してみてください。

玄関
  • ドアを開けっ放しにしない
  • ドアについている郵便受けを塞ぐ
  • 窓を開けっ放しにしない
  • 網戸のほつれや隙間を塞ぐ
換気扇
  • 稼働させ続ける
  • 換気扇カバーをかける
排水溝
  • ネットをかける
  • 目の細かいゴミ受けを置く
  • 使用しない時は蓋をする
シンク下の配管
  • 隙間をパテやマスキングテープでふさぐ
ドレンホース
  • ホース先端にキャップを取り付ける
  • ホース先端にネットをかける

ゴキブリは厚みのない形状をしているため、1~2cmの隙間があれば家の中に入ってきます。

網戸のほつれがある場合は、張り替えるか補修テープを使ってふさぎます。換気扇はプロペラタイプの場合、隙間ができるため専用のカバーをかけておきましょう。

カバーをかけることで、ゴキブリに加えて油汚れ対策もできます。

シンクや洗面台の下の配管に隙間がある場合は、専用の「隙間パテやマスキングテープ」でふさいでおきましょう。

エアコンの室内機から屋外へと繋がる「ドレンホース」から侵入してくる可能性があるので、専用のキャップや目の細かいネットをかけて対策してください。

活動が活発になる夜間は、「排水溝に蓋をしたり、窓やドアの開け閉めをしたりしないようにする」などの対策を取るとよいでしょう。

まとめ

生物学上、シロアリとゴキブリは同じ仲間に分類されますが、食性や生息場所、対処方法に違いがあります。

  シロアリ ゴキブリ
食性(エサ) 湿った柔らかい木材を好んで食べる
  • 人間の食べ残し
  • 人間や動物の老廃物
生息場所 人目につかない床下
  • キッチン
  • 排水溝
  • ゴミ置き場
  • 冷蔵庫の下など
社会性昆虫の有無 あり なし
対処法 ・掃除機で吸う
・粘着テープで張り付ける
・シャワーの水圧で流す
・殺虫スプレーを散布する
・食器用洗剤をかける

対処する際はそれぞれの特性を知り、適切な対処方法や対策をとってください。

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