床下の点検を依頼した際に、換気扇の設置をすすめられたものの「床下の湿気対策に換気扇って効果あるの?」「必ず設置した方がいいの?」といった疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
必ずしも換気扇を設置しないといけないわけではありませんが、「部屋がジメジメしていたり、カビが発生している」などの症状が見られる場合は、床上の湿気対策に加えて、床下の対策が必要な場合もあります。
なぜなら、床下に換気扇を設置すると空気の循環が良くなり、床下の湿気が溜まりにくくなるからです。
この記事では床下に換気扇を付けていないと起こりうる影響や設置する際の流れ・業者に依頼した際の相場費用について解説します。
また、毎月かかる電気代や換気扇以外の湿気対策方法など、床下の換気扇に関する疑問にもお答えするので、床下に換気扇を設置するか迷っている人はぜひ一読ください。
床下に換気扇を付けていないとどうなる?
床下の換気をせずに湿度の高い状態にしていると、家にさまざまな悪影響を与える可能性があります。どのような影響が出てくるのか詳しく見ていきましょう。
- 害虫が住みつきやすくなる
- カビが発生しやすくなる
- 木材が腐朽しやすくなる
害虫が住みつきやすくなる
シロアリやゴキブリ、ムカデ、クモなどの害虫は湿度が高く直射日光の当たらない場所を好みます。そのため、湿気が溜まった床下は害虫の住処(すみか)になりやすいのです。
ゴキブリやムカデは有害な雑菌を振りまいたり、人を噛んだりして、衛生面や健康面での被害をもたらします。
また、シロアリは木材を食べるため、「建物内の木材がボロボロになる・耐震性を損なう」といった被害を受ける可能性もあります。
カビが発生しやすくなる
湿度・温度・栄養分の3つの条件が揃うことでカビは発生します。
空気の循環が悪い床下は、適度な湿度と温度があり、土壌から栄養も吸収できるため、カビが繁殖するのに適した環境です。
また日本の家は、「床下から天井まで空気が流れる仕組み」になっている場合が多く、床下で発生したカビが家の中に入ってくる可能性があります。
カビは臭いの被害もありますが、喘息やアレルギー、頭痛などの健康被害の原因にも繋がります。特に免疫力の弱い子どもや年配者は影響を受けやすいため注意が必要です。
木材が腐朽しやすくなる
床下に湿気が溜まると木材腐朽菌が発生する可能性があります。
木材腐朽菌は木材を分解し腐朽させる菌です。空気中の湿度が高くなり木材の含水率が20%以上になると発生しやすくなります。
木材腐朽菌が繁殖することで建物の強度が低下し、最悪の場合、倒壊する恐れもあります。
湿気が溜まりやすい家の特徴
湿気の溜まりやすい家に見られるいくつかの特徴を紹介します。
- 水田や湿地帯だった場所に建つ家
- 周りの土地より低い場所に建つ家
- 台風や洪水などで浸水したことがある家
- 床下の空間が狭く設計されている家
- 換気口の近くに障害物がある家
水田や湿地帯だった場所に建つ家
水田や湿地帯など、水と関連の強い土地は、床下に湿気が溜まりやすくなります。
周りの土地より低い場所に建つ家
周りの土地より低い場所に建つ家は、雨水が溜まりやすく、湿度が高くなってしまう原因に繋がります。
台風や洪水などで浸水したことがある家
台風や洪水などで過去に浸水している家は、水が引いているように見えても。土壌に汚水が残っているかもしれません。この状態のままでは湿気の原因となってしまいます。
床下の空間が狭く設計されている家
建築基準法で床下の高さは「地面からその上の床の上面まで45cm」と定められていますが、改正前に建てられている家は45cmより低く設計されていることがあります。
床下の高さが低いと通気性が悪くなり、湿気がこもる原因となるのです。
換気口の近くに障害物がある家
「換気口の近くに隣の家が建っている」「荷物を放置している」状態では、空気の循環が悪くなるため、湿度が高くなりやすくなります。
床下の換気扇設置にかかる費用
湿気対策として換気扇を設置するとなった場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
ここでは、換気扇の取り付けを専門業者に依頼した際にかかる費用と毎月の電気代について解説します。
換気扇を設置する際にかかる費用相場
換気扇の設置にかかる費用は、設置する台数によって異なります。一般的には、2~4台の設置で、10万円~30万円ほどが相場価格です。
また、既存の換気扇を撤去する場合は撤去費用がかかります。
依頼する業者によって支払い方法や保証内容が異なるため、料金と一緒に確認しておくとよいでしょう。
換気扇の月々の電気代は?
換気扇の電気料金は設置台数や床下の面積により異なります。
たとえば、1日に5~6時間稼働させた場合、換気扇3台で100円(1か月)ほどの電気代がかかります。
床下の換気扇の設置に関するQ&A
- 換気扇は何台くらい設置する?
- DIYで床下に換気扇は設置できる?
- 換気扇を設置する以外の湿気対策はある?
床下に換気扇を設置する必要性や費用はわかったものの、「実際に何台くらい設置すればよいのか」「自分で設置できないのか」などの疑問も残っているのではないでしょうか。
そこで最後に、床下に換気扇を設置する際によくある疑問に答えていきます。
換気扇は何台くらい設置する?
換気扇の設置台数は、30坪程度の広さで2〜4台が目安です。
それ以上多く設置したからといって、換気効率が上がるわけではありません。逆に設置しすぎることで、空気の流れを悪くしてしまう可能性もあります。
業者によっては必要台数以上の設置をすすめてくる場合もあります。その際は、すぐに契約をせずに、他の会社の説明も聞いてみるとよいでしょう。
DIYで床下に換気扇は設置できる?
自分自身で床下に換気扇を設置するのは難しいと言えるでしょう。
なぜなら効率的に湿気を飛ばすためには、配置する位置や距離感、適切な個数など、専門知識が必要となるからです。
また床下は狭くて暗いため、作業がしにくく、漏電して怪我をする危険もあります。
以上のことから、床下に換気扇を設置する場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
換気扇を設置する以外の湿気対策はある?
換気扇を設置する以外にもいくつか湿気対策の方法があります。
- 床下調湿剤をまく
- 防湿シートを敷く
床下調湿剤をまく
床下調湿剤は、湿度が高いときは湿気を吸収し、乾燥しているときは湿気を放出するため、床下にまくことで、適切な湿度を保ってくれるのです。
ゼオライトやコレマナイトなどの石材系や、木炭やセラミック炭などの炭系などさまざまな種類があります。
また、直接地面に撒くタイプと、不織布の袋に入ったものを敷くタイプの2種類があります。
床下調湿剤は、換気扇の設置に比べてリーズナブルな価格で対策が可能です。1坪あたり約10,000〜30,000円ほどで設置できます。
ただし、床下調湿剤の有効期限は種類により異なるため、床下調湿剤を購入する際はどれくらい効果が持続するのかを確認しましょう。
防湿シートを敷く
調湿材を撒く際、床下が土の場合は防湿シートを敷きます。土の湿気を直接吸い上げないようにするためです。
防湿シートを敷けば、土壌から上がってくる湿気を遮断できるため、高い防湿効果を期待できます。
費用は1坪あたり約10,000円ほどです。床下調湿材と防湿シートがセットになったプランを扱う業者も多くあります。
また、家の構造によっては設置できない場合もあるので、事前に調査してもらう必要があります。
まとめ
床下に換気扇は絶対必要ではありません。
ただし、床下に湿気が溜まると害虫やカビなどの発生につながり、健康面や建物に被害をもたらす可能性があります。
床下に換気扇を設置するには、専門的な知識が必要になるため、床下換気扇の取り付け業者に依頼することをおすすめします。
湿気対策としては、ほかにも「床下調湿剤をまく・防湿シートを敷く」といった方法もあるので、比較しながら自分の家に合った方法を見つけてください。