畳がボロボロになっていたり、変色していたりといった異変がある場合、シロアリによる被害を疑う人もいるのではないでしょうか。シロアリが畳を食害する場合、畳だけでなく住宅全体を守っていく必要があります。

この記事では畳の食害状況を知る方法や修繕費用、畳以外への住宅への影響などについて詳しく解説します。

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シロアリは畳も食べる!

シロアリといえば住宅の柱や床下の木材を食べるイメージがありますが、木材だけでなく畳も食べます。
普段、和室にいて畳を見たときに表面はなんともなくても、内側はひっそりと食害されていることもあるので注意が必要です。畳を持ち上げて裏を返すと、裏側が食害されていてボロボロになっていることもあります。

畳は湿気が多くシロアリが好みやすい

シロアリが畳を食べることを意外に思う人もいるかもしれませんが、もともとシロアリは木材や紙などを好む昆虫です。そのため、畳の材料であるい草や稲わらもシロアリの好物の1つに数えられます。

また、い草で編まれた畳の中は適度に湿気を含んでいるため、70~80%程度の多湿の環境を好むシロアリにとって非常に生息しやすい環境です。

さらに、シロアリは木材の中から食害する習性を持つため、もし、和室にいて畳の中から1匹シロアリが這い出てきた場合、畳の中にまだたくさんのシロアリが潜んでいる可能性があります。

畳は床下の後に被害が出ることが多い

日本国内における代表的なシロアリであるヤマトシロアリとイエシロアリは、床下から侵入して食害することが多いです。そのため、床下にある餌をあらかた食べ終わると徐々に行動範囲を広げ、畳下板や畳の方に上がってきます。つまり、畳に被害があったら床下はすでに食べられていることが多いです。

たとえば畳をはがして畳下板を見ると、シロアリの蟻道があったり、木屑、畳の屑などが落ちていることがあります。そのため、畳がシロアリ被害に遭っていたら必ず、床下の被害状況も確認しなければなりません。

ただし、床下に一般の人がもぐるのは閉じ込められる・身動きがとれなくなるなどのリスクがあるので、業者に点検・駆除依頼することをおすすめします。

10年以上畳を放置している場合は要注意

一般的に、畳の寿命は約10年といわれています。そのため、10年以上畳を取り替えていない場合はシロアリの好む多湿の環境になりやすかったり、シロアリを含むさまざまな害虫が住み着いたりしやすくなります。

月日が経つほど衛生的に保つのは難しいため、点検も兼ねて定期的に畳のメンテナンスを行うとよいでしょう。畳の張り替えについてはシロアリ業者ではなく、畳張り替えの専門業者に依頼します。

シロアリに食害されている畳の特徴

シロアリは畳の中にひそんで食害していくため、被害が拡大するまでシロアリの存在に気がつかないこともあります。そこで、畳がシロアリに食害されているかどうかの見分け方や、特徴について解説します。

表面が沈む・ふかふかする

畳を足で踏んだとき、表面が不自然に沈んだり、ふかふかとした感触がしたりして通常の畳と明らかに違う場合はシロアリを疑いましょう。

畳を食害されると中がスカスカになるため、空洞になった部分が踏んだときに沈んだり、感触が変わったりする原因になります。

い草の屑が落ちている

畳の近くにい草の屑や破片が落ちている場合、シロアリが畳を食べたときの食べかすの可能性があります。

また、畳に触れたり、表面を撫でたりしたときに細かい屑がボロボロ出てくるときもシロアリに食害されていることを疑います。

畳が食害を受けた場合の対処法

畳がシロアリによってボロボロにされてしまった場合、畳やシロアリ、あるいは家全体に対してどのように対処すればよいのか解説します。

食害を受けた畳は破棄する

まず、少しでも食害の痕跡が見つかった畳はすみやかに破棄・交換しましょう。表面には見えなくても、畳の中にまだシロアリが多数ひそんでいる可能性があるからです。食害された部分がわずかだと補修して使用する人もいますが、シロアリの被害が拡大するリスクが高いのでおすすめしません。

また、できればまだ食害を受けていない周辺の畳についても、同じ部屋にあるものはすべて撤去することが望ましいでしょう。こちらも同じ理由で、中にシロアリがひそんでいないとは限らないからです。

シロアリの駆除を依頼する

次に、シロアリの駆除を依頼しましょう。一度シロアリが出たら、1匹残らず駆除しないとシロアリはまた繁殖を繰り返します。自分で市販のスプレーを使って駆除しても、一部のシロアリが逃げ出して手の届かない奥へ行く可能性が高いので避けた方がよいでしょう。

シロアリは1年で家の柱3本分をまるまる食い尽くすともいわれています。そのため、食べやすい畳はわずかな日数でもどんどん食害が進んでしまうでしょう。もちろん、畳が食べられたということはほかの床下もさらに食害される可能性があります。1日でも早い駆除が必要です。

また、このとき注意点として、食害された畳や床下などの修繕をする前にシロアリの駆除を依頼しましょう。シロアリの駆除が済んでいないまま修繕しても、シロアリが再び取り替えた畳を食べてしまうため意味がありません。

なお、被害規模が大きい場合はいったん駆除をしたあと大がかりなリフォームを行い、それに合わせて防蟻処理をおこなうため、2回にわたって業者に依頼するケースもあります。

修繕工事や畳の交換を行う

シロアリの駆除が完了したら、あらためて床下、柱や基礎など食害された部分の修繕工事を行います。被害箇所の畳も畳の張り替え業者に依頼して、被害のあった部屋すべて張り替えしてもらいましょう。

このとき重要なのは、シロアリの被害に遭った箇所をリフォーム業者と正確に共有することです。シロアリ駆除業者はリフォーム業者ではないため、基本的に建物や畳の修繕は別の会社が担当します。

しかし、被害状況の共有がうまくいっていないと、被害の遭った箇所すべてを修繕できない可能性があります。シロアリ被害からの回復を前提にそれぞれ業者へ話し、被害箇所を共有できるようにしてもらいましょう。

もしくは、シロアリ業者の中でも修繕・リフォームまでできる業者に依頼するとスムーズに済み、同じ会社で済む分見積もりも正確かつ安くなります。

畳を食害された場合の修繕・駆除費用相場

では実際に畳を食害された場合、修繕やシロアリの駆除にはいくらかかるのか費用相場を解説します。

畳の張り替え費用

シロアリに食害された畳は、通常の張り替えと異なり、表裏を返すのではなく新調する必要があります。そのため通常の表替えより費用がかかることに注意が必要です。畳は素材によっても大きく変わるためあくまで目安ですが、1畳あたり4,000~35,000円ほど見ておくとよいでしょう。

なお、費用だけでなく交換日数も覚えておきましょう。表裏を返すなら1日で終わりますが、新調の場合は1日では終わらず、2~10日程度必要です。

シロアリの駆除・予防費用

シロアリの駆除や予防にもそれぞれ費用がかかります。駆除は薬剤散布による「バリア工法」もしくは毒餌を置く「ベイト工法」のいずれかから、状況に合わせて業者が選択し行うのが一般的で、それぞれの工法によって費用も変化します。

目安としては、薬剤散布を行う場合1平米あたり約2,200円~4,000円が相場です。一方、ベイト工法の場合は1メートルあたり約7,000円~9,000円を目安とします。広さによりますが、ざっくりと計算すると家1軒であたり15~30万円の費用がかかる計算です。
詳しい費用相場や、駆除業者の選び方は下記の記事で詳しく紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

ただし、シロアリの中でもイエシロアリの駆除を行う場合はやや費用が割高になります。日本国内のシロアリ被害はおもにヤマトシロアリとイエシロアリによるものです。特に畳を食い荒らされているときはすでに床下において被害が拡大していると考えられるため、修繕費用とともに駆除費用も余裕をもって予算を見ておきましょう。

修繕費用

シロアリに食害された床や基礎、柱などの修繕費用も計算に入れておかなくてはなりません。被害規模や使用している素材に応じて修繕費はまったく異なります。ごく軽微な損害であれば数万円程度で済むこともありますが、被害が大きいと数百万円以上かかる可能性もあるでしょう。

この修繕費用の高さを考えると、シロアリの駆除や修繕に至る前に、そもそも予防を定期的に行っておいた方がはるかに安く済むことがわかります。駆除・修繕が終わった後は5年に1回を目安に点検・予防を欠かさず、これ以上シロアリを寄せつけないことが大切です。

賃貸の場合は大家負担で修繕できるケースもある

もし賃貸物件でシロアリ被害にあった場合、特に入居してから日が浅いのであれば大家負担で修繕できる可能性があるため覚えておきましょう。

住宅のメンテナンスは原則として大家・管理会社の義務です。そのため、シロアリが出たということは管理を怠っている可能性があります。早急に大家や管理会社に相談しましょう。

特に、賃貸物件では自分で勝手に修繕や駆除依頼を進めると費用を負担しなくてはならなかったり、大家や管理会社側とトラブルになったりすることもあります。シロアリを見つけたら早急な対処が必要ですが、賃貸においては駆除依頼の前に必ず相談することが大切です。

なお、もし借主が木材を周辺に放置していたり、水漏れを申告せずにいたりなど、畳や周辺環境のメンテナンスを怠ったことで被害が起きていると考えられる場合は借主負担で駆除・修繕することが多いです。

畳を食べられないようにする予防対策

シロアリが家に住み着いてしまった場合、放置していると最終的には畳も被害に遇う可能性が高いです。

特に高級な素材を使用した畳を敷いている場合など、畳を絶対に食べられたくないのであれば次の予防対策も徹底すると、畳への被害を遅らせることができます。

通気性をよくして湿度を下げる

シロアリは70~80%の湿度を好むため、部屋を換気を定期的に行い湿度を下げましょう。部屋の湿度を下げることで、畳内部の湿度も下げられます。

また、畳干しも有効です。もし、掃除で畳を水拭きする場合は乾拭きや換気を行い、しっかり乾燥させることを徹底しましょう。

部屋の湿度を下げるため、家周辺にある通気口を塞がないといった対策も必要です。雑草を刈ったり、通気口付近にものが置いてある場合は撤去したり工夫しましょう。

定期的に畳替えを行う

直接被害を防ぐ方法ではありませんが、和室は定期的に畳替えを行うことで被害に気がつきやすくなります。畳を持ち上げることで普段メンテナンスができない裏側を確認できるでしょう。

早期発見できれば、畳はもちろん家への被害も少なくなります。また、畳替えを行うことで湿気や傷みを防ぎ、快適に過ごせるメリットもあります。

防虫シートを敷く

畳を剥がした際、防虫シートを敷いておくと畳へのシロアリ被害を防ぎやすくなります。ただし、あくまで防ぎやすくなるだけで、被害規模が拡大すればシートを避けて食害される可能性もあるため注意が必要です。

また、床下まで防虫効果が及ぶわけではないのも覚えておきましょう。あくまで畳への被害を遅らせるための方法として利用することをおすすめします。

最終的には業者へ予防処置の依頼が必須

畳や住宅へのシロアリ被害を防ぐためには、1年に1回の定期点検と、5年に1回の予防依頼が欠かせません。

ホームセンターでは予防や駆除のためのスプレーや毒餌も市販されていますが、市販品はとにかく手軽に使えることを重視している製品が多く、確実な効果は得られないのでおすすめできません。

また、駆除が必要になった場合は1匹残らず駆除する必要があります。市販品を使うとシロアリが家の奥へと逃げ込み、逃げた先でさらに被害を拡大させてしまう懸念もあるため、使用は避けた方がよいでしょう。

シロアリの専門業者に依頼すれば確実な予防ができるので、まずは定期点検してもらうことを強くおすすめします。


まとめ

シロアリは集団で住宅に押し寄せ、床下の柱や基礎を食い荒らした後に畳へも被害を及ぼします。畳の内側に潜んでいることも多いため、シロアリが一見見えないからといって安心せず、畳がボロボロになる・屑が落ちるといった予兆を見逃さないようにしましょう。

畳がいったん食害されたら、一部屋全部の畳を新調する必要があります。また、畳を新調する前には駆除依頼をして1匹残らず退治するのが大前提です。駆除は家一軒で15~30万円、畳の新調は1畳あたり4,000~35,000円を費用の目安になります。

普段から家の換気で湿度を下げる、業者による点検・予防を行うといった対策を徹底し、住宅も畳もシロアリから守りましょう。

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