梅雨時期は湿度が高く、シロアリ(羽アリ)が活動しやすい環境が整います。この記事では、梅雨時期にシロアリが発生しやすい理由や、巣を作りやすい場所を紹介し、発生した場合の対処法や予防対策を具体的に解説していきます。シロアリ被害を未然に防ぐために、梅雨時期のシロアリ対策について理解を深めましょう。
シロアリは水分を含んだ木材を好み、高温多湿の環境に生息します。そのため梅雨はシロアリが発生する環境になりやすいです。
雨や曇の日が多く湿度が高くなること、雨で濡れた木材がなかなか乾かずに湿気を含むことなど、シロアリにとって好条件がそろうため十分な対策が必要です。
では、シロアリは家の一体どこに棲家を作るのでしょうか。シロアリが巣を作りやすい場所として、特に水回り、和室、玄関などが挙げられます。これらの場所は、湿度が高くなりやすいため、シロアリにとって好ましい環境が整うことが一因です。
さらに、玄関の枠木は土に面している構造が多く、シロアリが侵入しやすい場所だと言えます。
これらの場所では、定期的にチェックをおこない、発生や巣作りを未然に防ぐことが重要です。それぞれを詳しく見ていきましょう。
キッチンや洗面所などの水回りは、水を使うのに直射日光があたらないことで、湿度が高くなりやすいです。
またキッチンや洗面所では、水漏れや排水の詰まりもシロアリ発生の原因になり得ます。
よく換気をして除湿したりひび割れがないかを定期的にチェックしたりすることが予防につながります。
畳は湿気を吸収しやすく、湿度が高まりやすいです。そのため、梅雨には畳に対するシロアリ被害に注意しましょう。畳が沈み込む感覚があったり、畳の縁が浮いている場合は、被害を受けている可能性があるため、すぐに対処しなければ被害が大きくなります。
畳の定期チェックとして、たまに畳をめくり、その下に痕跡がないか確認するのが望ましいです。万が一和室付近でシロアリを見つけた場合は、速やかに専門業者に相談し、適切な対策を取りましょう。
シロアリを寄せ付けないためには、畳の湿気を抑えることです。定期的に畳を干して除湿します。また、エアコンの除湿機能や除湿機の活用も対策の手段として有効です。
玄関の枠木は、土に面している構造が多く、シロアリが侵入しやすい場所であることが一般的です。特に、戸建てなどで木材を多く使用している構造では、被害を受けやすい環境だと言えます。定期的な点検や十分な除湿対策が必要です。
玄関周辺は、雨で濡れた靴や傘を持ち込むことや、玄関の床の温度と室温の差によって発声する結露によって湿度が高まります。これがシロアリの発生や繁殖を促す条件となります。また、家の土台や柱などの木材が直接土に触れる構造は、侵入を助けることになるので事前の予防が大切です。
シロアリ対策としては、まず玄関の床下や土台を確認し、痕跡がないかチェックすることが大切です。また、床下の通気を良くし湿気を逃がす工夫をおこないましょう。
ただし、床下は暗く狭いので、自分で確認したり作業したりするのは難しい場合もあるでしょう。不安な場合は業者に点検を依頼してみるのもおすすめです。
シロアリが発生した場合、自分で対処する方法と業者に駆除を依頼する方法があります。自分でおこなう対処方法は一時的な手段であるため、最終的には業者に駆除を依頼しましょう。
掃除機でシロアリを吸い取ることは、一時的な対策として有効です。
見つけたシロアリから生息している範囲を特定し、掃除機で吸い取ることによって、その場所を一時的に駆除できます。
掃除機で吸われたシロアリは掃除機の圧力によってほとんどが死滅します。万が一そのときは生きていたとしても、水分のない掃除機のダストパックやダストボックスの中では生きて行けず、1日程度で息絶えるでしょう。
粘着テープや粘着シートといった粘着アイテムを使用することで、シロアリを直接触れずに駆除できます。
たとえば粘着シートは、シロアリが移動する際にひっかかると、くっついて動けなくなります。また、駆除した近くに隙間がある場合には、粘着テープで補修することで侵入を防げられるでしょう。
手軽に使用できるため、シロアリ予防としてもおすすめです。
シロアリの侵入口に、ビニール袋をしっかりとかぶせ、袋の中に閉じ込められたシロアリを一気に捕獲する方法です。
具体的には、まずシロアリが侵入してくる場所を特定し、その周辺を清掃しておきます。次に、適当な大きさのビニール袋を用意し、侵入口にぴったりと密着させるようにかぶせてテープで固定します。ビニール袋をかぶせた状態で数日間放置し、定期的に袋の中を確認して捕獲状況をチェックしましょう。
袋の中にシロアリが捕まっていることを確認したら、袋を外してシロアリを処分します。この方法は、侵入経路を特定できれば、効果的にシロアリを捕獲できるため、試してみるといいでしょう。
シロアリを完全に駆除するには、シロアリの専門業者に依頼するのがいいです。
なぜなら、自分で駆除できる範囲はたった一部にすぎないからです。もしも家の中に巣が作られていた場合は、巣と女王アリを残さず完璧に駆除しなければ再発します。
住宅に侵入した多くのシロアリは、一般の人にとっては発見しにくい場合に巣を作っています。専門知識を持つ業者は、生態や侵入経路を把握しており、適切な点検をおこなってくれます。
もしもシロアリの巣を発見したら、詳しい駆除方法を提案してくれるでしょう。駆除の費用相場は、被害状況や駆除方法によって異なりますが、おおむね坪5,000円~9,000円程度です。
ただし、被害が広範囲に及んでいる場合や、定期的なメンテナンスが必要な場合は、費用が高額になることもあります。そのため、いくつかの業者から見積もりを取るなどして、適切な費用を把握しましょう。
駆除のタイミングについては、早期発見・早期対応が理想的です。被害が見つかった場合は、速やかに専門業者に相談し、駆除の手配をおこないましょう。また、被害を未然に防ぐためにも、定期的に点検や予防をおこなうことが大切です。
専門業者に依頼する場合の選び方や予算については、以下の記事でも詳しく解説しています。
シロアリ被害に遭わないためには、シロアリを住宅に侵入させないことです。そこで、シロアリが侵入しにくい住宅環境を作るための対策を解説します。
シロアリは隙間から侵入してくるため、外壁や床下のひび割れなどがある場合は隙間をふさいでしまいます。
粘着アイテムやホームセンターで購入できるパテを利用して、しっかりと隙間を埋めましょう。
シロアリは湿度を好むため、除湿してシロアリが活動しにくい環境を作るのも大切です。
以下の方法で湿度をコントロールできます。
エアコンの除湿機能を利用する
床下の換気口を開けておく
調湿材を利用する
換気口の前に物を置かないようにすることで、風通しを良くする
湿っている木材やダンボールはシロアリの餌になります。家の敷地内に放置したままだとシロアリが発生しやすいです。屋外でシロアリの巣が作られた場合、後に住宅まで侵入してくるおそれがあります。
定期的に庭や周辺の状況をチェックし、不要な木材やダンボールなどは処分することが大切です。
シロアリの発生を予防するのに最適な方法は専門業者に防蟻処理を依頼することです。
専門業者がおこなう防蟻処理で使用する薬剤の有効期限は約5年です。そのため、5年に1度をメンテナンスとして防蟻処理を依頼すると安心です。また、専門業者は生態や予防方法に精通しているため、効果的な対策を提案してくれます。
すでにシロアリから食害を受けている場合、住宅内に巣があるとみていいでしょう。ここではシロアリ被害に受けている可能性を確かめるチェックポイントを解説します。これらのポイントを参考に、セルフチェックをおこないましょう。
シロアリ▢食べられた木材は空洞ができることが多く、叩いたときの音が軽いです。明らかにほかの場所と違い音が軽い場合は、シロアリによる食害を疑って調べることが大切です。
もしも、小さな粒状のものがたくさん落ちていれば、それはシロアリの糞である可能性が高いです。シロアリのフンは粉状で、巣の近くに散らばっています。フンが見つかった場合は、巣が近くにあると思っていいでしょう。
羽アリが大量発生している場合は、巣が近くにある可能性が高い証拠です。特に梅雨には注意が必要です。
シロアリの巣は、木材の内部や壁の隙間などに作られることが多く、湿度が高く暗い場所を好みます。これらのチェックポイントを確認し、巣がないかどうかを確認しましょう。もし疑わしい箇所があれば早急に対処が必要です。専門業者に相談し、適切な対策を取りましょう。
梅雨時期にはシロアリ(羽アリ)が活動しやすい環境が整うため事前の予防が大切です。
住宅の隙間をふさいだり、除湿に工夫したりしましょう。また、住宅周辺に濡れた木材を放置しないようにします。巣を作りやすい場所を定期的にチェックをおこなうことでわずかな変化に気づきやすくなるでしょう。
万が一シロアリが発生したら、掃除機やビニール袋を利用し、一時的な駆除対策を取ります。その後、専門業者に駆除依頼することで、シロアリを完全に駆除できます。
シロアリが好む環境になりやすい梅雨時期を乗り切るために、本記事で紹介した対策を取り入れていきましょう。
住宅のシロアリ調査から始まり、その他の様々な害虫対策や防水・断熱といったリフォーム工事全般を経験してまいりました。調査実績は延べ数千件以上。
本社の支店長になっても現場が好きで、今も前線で活動しております。
疲れた体を癒すため、趣味は温泉巡りです。