床下に水がたまっていると、カビや細菌の発生による健康被害や、木材の腐食、害虫の発生による建物への損害など、さまざまな問題が生じる恐れがあります。

本記事では、床下に水がたまってしまう原因や点検方法、放置し続けるリスクとあわせて、床下浸水が起きている時の対処法について詳しく解説します。

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床下に水がたまる原因

床下に水がたまってしまう原因には、さまざまなものが挙げられます。特に多い原因としては、以下があります。

床下に水がたまってしまう原因
  • 配管からの水漏れ

  • 雨水の侵入

  • 床下の結露

それぞれの原因について、詳しく解説します。

配管からの水漏れ

まず、給水管、排水管、給湯管など配管からの水漏れが原因で床下に水がたまっている場合が挙げられます。

配管から水漏れしているかどうかを確認するためには、家中の水栓をすべて閉めます。その後、水道メーターをチェックしましょう。

水栓を閉めた状態でも水道メーターが動いていれば、漏水が発生している可能性が高いため、早急に業者へ修繕を依頼する必要があります。

雨水の侵入

また、雨水が床下へ侵入し、水たまりをつくるケースも考えられます。雨水が床下へ侵入してしまう原因として考えられるのは、主に以下の3つです。

雨水が床下に侵入してしまうケース
  • 外壁内部に侵入した雨水が壁の内部を通って床下に浸水する

  • 基礎コンクリートの打ち継ぎ部から浸水する

  • 換気口から浸水する

外壁にクラック(ひび割れ)や窯業系サイディングの反り、釘の抜けた穴などがある場合、そこから内部へ雨水が流れ込んでいる可能性があります。また、サッシ周りのシーリング材が劣化して隙間ができていたり、サイディングや幕板などの目地から雨水が流れこんでいたりする場合もあります。

そのほかにも、基礎コンクリートの打ち継ぎ部や、設置位置によっては換気口から床下へ雨水が流れ込んでしまう可能性もあります。

床下の結露

近年、機密性や断熱性の高い住宅が増えています。冷暖房の効率が良く快適に過ごせる一方で、家の中や床下に湿気がこもりやすい特徴があります。

こもった湿気が結露となり、床下に水がたまる原因となっているケースもあります。

特に夏場や梅雨のような湿度の高い時期には、工法や構造に関係なく床下も湿度が上がりやすくなるため注意が必要です。

床下浸水や水たまりは放置するのは危険

床下浸水や漏水、水たまりを放置すると、次のようなリスクがあります。

断熱材を選ぶポイント
  • カビや感染症などの健康被害

  • 木材の腐食や金属部の錆などの建物への被害

  • シロアリなど害虫の発生

  • 漏電の危険や断熱効果の低下

それぞれのリスクごとに、詳しく解説します。

カビの繁殖や感染症リスクなどの健康被害

床下の浸水を放置すると、カビが繁殖して健康へ悪影響がおよぶ可能性があります。

たとえばカビ菌を吸い込んでしまうと、アレルギーや気管支炎、喘息などを引き起こす恐れがあるため大変危険です。

また、湿度の高い場所で繁殖する細菌や微生物、破傷風菌などによる感染症リスクも高まります。

木材の腐食や金属部の錆による建物への損害

湿気がたまると、家の木材に「木材腐朽菌」と呼ばれる菌が繁殖します。

木材腐朽菌が繁殖すると、床下の木部や土台・柱など、住宅において重要な構造部の木材が腐食するため、建物へ損害が発生します。

さらに、高い湿度によって木材部分だけではなく金属部分や釘、鉄骨などに錆が発生すると腐食が起こってしまう可能性も考えられます。

シロアリをはじめとする害虫の発生

高い湿度で木材が腐食すると、エサとして好んで食べるシロアリが発生します。

シロアリが大量発生して柱や土台などの家の構造材を食害してしまうと、住宅の耐久性が低下してしまいます。耐震性にも影響が出るなど、取り返しのつかない事態へ発展するか可能性も否めません。   

漏電の危険や断熱効果の低下

床下に水たまりができていて、電気の配線が水に浸かってしまった場合、漏電や感電が起こる危険性も高まります。

また、床下が水浸しで断熱材まで濡れている場合もあります。断熱材は濡れると断熱効果が低下するため、断熱材交換のリフォームが必要になるケースもあります。

床下浸水や水たまりへの対処法

床下の浸水や水たまりが発生してしまっている場合、適切に対処しなくてはなりません。

まずは、自分だけでできる対処法について紹介します。

基本的に清掃・排水・乾燥の工程が必要

床下浸水や漏水・水たまりに気付いたら、まずはできるだけ早く排水することが大切です。バケツや工事用の排水ポンプなどを使って、すぐに水を掻き出しましょう。

バケツや工事用排水ポンプはホームセンターやインターネットから購入できます。

排水をした後は、泥や汚れを清掃し、乾燥させる工程が必要です。

排水時には汚泥などもあわせて取り除く

排水しても、泥が残っていると匂いやカビ、雑菌が繁殖する原因になります。そのため、泥水の場合は排水と同時に泥も一緒に掻き出しましょう。

水気を含んだ泥はスコップやほうき・ちりとりなどを使用すると取り除きやすくなります。泥を取り除いた後は真水で洗い流してもう一度排水し、できる限り泥が残らないように隅々まで清掃しましょう。

乾燥が不十分だとカビの発生や木材の腐食につながる

排水と泥の除去ができたら、次は乾燥をおこないます。扇風機や送風機を使って、床下内部をしっかり乾燥させましょう。

季節や天候によっては、十分乾燥するまでに1週間程度かかる場合があります。

毎日根気よく送風しなければなりませんが、生乾きの状態だとカビや木材腐朽菌が繁殖しやすくなるため、十分に乾燥させることが重要です。

乾燥後に消毒が必要になるケースもあるため注意

床下浸水に関する厚生労働省の発表では、原則として床下の消毒は必要ないとされています。しかし、以下のケースでは、細菌の発生などによる感染症リスクが考えられるため乾燥後に消毒が必要になります。

乾燥後の消毒が必要になるケース
  • 排水管など汚水が水漏れしていた場合

  • 河川の水が流れ込んだ場合

  • 敗物や動物の死骸が流れ込んだ場合など

浸水後の消毒は、ホームセンターなどで市販されている消石灰(水酸化カルシウム)を1㎡あたり1キログラム目安で散布する方法が一般的です。

床下の点検や水たまりの処置をおこなう際の注意点

床下は暗くて狭いほか、浸水している場合はカビや細菌、害虫などが繁殖している危険性があります。

そのため、床下を点検したり水たまりの処置をする際には事前の準備をきちんとおこなったうえで、無理のない作業を行うことをおすすめします。

床下点検時の主な注意点について、解説します。

床下点検に必要な装備と服装

まず、床下点検をおこなうために必要な装備と服装を用意しましょう。

汚水や泥などから肌を守り、感染症を予防するためにも長袖・長ズボンは必須です。

暗くて狭い床下で頭部をぶつけないよう、ヘルメットも被るとよいでしょう。

直接汚水や泥などが触れないように軍手やゴム手袋などを装着し、カビや細菌、消毒剤などを吸い込んだり目に入れないようにマスクやゴーグルも準備します。

特に消毒をおこなう場合は、十分に床下を乾燥させて換気をしながら作業してください。消石灰は使用上の注意を守り、万が一肌や目に触れてしまった場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

具体的な服装や床下点検に向けて必要になる準備は、以下の記事でご覧ください。

配管から水漏れの可能性がある場合は、家のすべての水栓を閉じて水道メーターが動いていないか確認しましょう。床下点検口を開ければ、目視でも水がたまっているか確認できます。 

浸水している場所や状況によっては、床板や畳などを外さなければ確認ができないケースもあります。自分で外すことが難しい場合は、無理せず専門業者に依頼するとよいでしょう。

安全を優先するため専門業者への依頼もおすすめ

床下は暗くて狭く、浸水している場合はカビや雑菌など衛生上の問題もあります。

さらに消毒が必要なケースでは、薬剤を吸い込んだり目に入ってしまったりなどの危険性も考えられるため、無理せず専門業者に相談するのがおすすめです。

万が一、シロアリなどの害虫が発生していた場合にも、自分で駆除しようとすると失敗する可能性があります。やみくもに殺虫剤などを使用すると、害虫があちこちに逃げ込んでしまい、隠れた先でまた巣を作って繁殖することによって、余計に駆除を難しくしてしまう場合があるからです。

専門業者に依頼するメリットや費用相場

専門業者に依頼すれば、プロの技術で効率的かつ安全に作業をしてもらえます。

最後に、専門業者に依頼すると得られるメリットと費用の相場を紹介します。

専門業者に依頼するメリット

専門業者に依頼すればプロの知識と経験をもとに、専門の装備と道具を使って処理してもらえます。

自分でおこなう場合、暗くて狭い場所で慣れない作業をすることになるでしょう。ケガをする危険性や衛生上の問題、消毒剤を吸い込むリスクなどが懸念されます。

また、自分でおこなう場合はゴーグルや長靴、ヘルメットや手袋などの装備が必要です。加えて排水や清掃、乾燥させるときに必要な道具類も自宅になければ、新たにホームセンターなどで購入しなければなりません。

専門業者に任せれば、プロの技術と道具で適切な処理をおこなってくれるだけでなく、家の構造や現状に合った予防策、床下換気扇・床下防湿シートの設置などの導入についても相談できます。

専門業者に依頼した場合の費用相場

床下浸水の処理を専門業者に依頼した場合の費用相場は、1㎡あたり1,500円~2,000円程度です。

例えば30坪の戸建て住宅の場合、99㎡程度の広さであるため148,500円~198,000円程度、40坪(約132㎡)の場合は約198,000円~264,000円程度かかることが想定されます。

業者の選び方や費用の相場については、こちらの記事でより詳しく解説しています。

まとめ

床下浸水や漏水、水たまりができている状態を放っておくと、カビや細菌などの繁殖による健康被害が発生する恐れがあります。加えて、湿気による木材の腐食や金属部の錆、腐食した木材を好むシロアリのような害虫が発生すると、建物への損害も深刻化するでしょう。

このような事態を避けるには、定期的に床下点検口をチェックし、床下に水や湿気がたまっていないか確認する必要があります。

自分で行うのが難しい場合には、無理せず専門業者に依頼するのがおすすめです。

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